オンボロのTOYOTAの車内で、友人のロドリーゴ・エルナンデスは、巻紙の先端を慣れた手つきでねじりながら、小さな声で囁いた。
「これから本物のバリオ・ミュージックを聴かせてやるよ」
手垢で汚れたカセットテープをコンソールから取り出して、カーステに押し込む。
妖しげなグィロのリズムが後ろのスピカーから流れ出すと、奴は火を点けてたジョイントの端を思いっきり吸い込んだ。
緩やかなラテンのリズムとソウルフルな歌声。ミディアムテンポの有機的な波動が40マイルのスピードとシンクロする。
カセットテープに録音されていたのはWAR。夕闇のクルージングには最高のBGMだ。
昼間は工場のラインに立ち、夜は短いシフトで清掃仕事も受け持つロドリーゴ。
この夕闇のクルージングとはふたつ目の仕事へ向かうドライヴに他ならない。
インパラやモンテカルロには乗っていないけど、ロドリーゴのように心の中でローライダーを走らせる奴はバリオには大勢いる。
バリオ・ミュージックとは、そんな人たちの人生にそっと寄り添う魂の歌のことなのだ。
本文はLOST ANGELSに掲載されていたチカーノカルチャーの伝道師MIYATAさんのコラムです。
このロドリーゴの話大好きで、ボロいNISSANでこのストーリーとシンクロしようと必死です(笑)
BARRIO (新琴似)のMain street(4番通)をWHITTIER BOULEVARDにみたて、ロドリーゴストーリー浸ってます(笑)
今度誰かにMIYATAさん役をやらせてあげます。
俺に小さな声で「これから本物のバリオ・ミュージックを聴かせてやるよ」と囁かれるだけですけど。NISSANうるさすぎて聞こえないかな??